帰宅難民①
台風が東京を直撃した日の、「帰宅難民」のことが話題になっていますね。渋谷駅近辺では、暴風雨が吹き荒れる中、何万人という人が立ち往生していたとか聞きます。しかも、その時間が3時間とか5時間とかなので、それはキツかったことと思います。
そんなことが起こってしまった原因について、テレビには都市計画の専門家の方が登場して、「都市型災害が、どーの、こーの」と論じておられましたが、私は「?」と思いました。最大の原因は他にあったのでは、と思います。
午後3時半に東急線が止まったことを知った、各企業の経営者の皆さんは、泡を食って従業員に帰宅を命じたようですが、それがサイアクだったようです。
従業員さんは仕事を続行中ですから、すぐに終わらせられず、4時とか4時半まで仕事をして、それから駅へ向かったわけですが、その頃には、地下鉄以外の電車は、皆止まってしまっていました。しかも、その頃が風雨のピークだったのです。これはサイアクです。
弊店でも、遠くに住むスタッフを帰そう、という話しが上がってきましたが、私は、
今帰るのは、どうなのかな、途中で電車止まるかもよ。
と思いました。後で聞きますと、結局、無事帰れたらしいのですが、それはむしろラッキーなケースだったのであって、結論は店に居た方が安全だったのです。
この日、予約のお客様に、かたっぱしから電話を架けますと、3組のお客様から、
行くよ!
というご返事でした。それなら、むしろこのまま営業している方が良い状況です。台風なんてものは、3〜4時間も我慢していればぬけるわけですから、夜9時半まで仕事して帰れば丁度良いのです。
電車の復旧が遅れて深夜になれば、その時はスタッフを泊めないといけない、あるいはお客様さえお泊めしないといけないことになるわけですが、それは当然のことです。3.11大震災の当日も数人のスタッフが店に泊まったことを思い出し、私は覚悟を決めました。
営業続行。帰れないヤツは泊まればいいし、帰る途中で止められたら、店に戻ってくればいいさ。
たしかに、スタッフとは言え他人が夜中に店に居るのは、面倒をしょったような気がします。何か事故があったら責任はどうなる、とか考えてしまいますね。
ましてお客様となると厄介です。でも、3.11の夜に、料亭を経営する知人が、お客様を店にお泊めした、と聞いていましたから、この日判断に迷いはありませんでした。
帰れない状況になったら、泊まってもらうのが、最良のホスピタリテイーの発揮であった、早く帰すことではない、「帰れ、帰れ、というのは違うよな」と考えました。
従来、私は飲食店あたりが「ホスピタリテイー!」と叫ぶのには「他にピッタリな言葉はないのかなあ」と思っていまして、ホスピタリテイーという言葉は、飲食店じゃなくて宗教者、医療・福祉関係者、公務員が使う言葉と思っていますが、緊急事態なら話しが別です。
(この話しは長くなるので明日に続きます)
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