討ち入り
4/16は月に1度の、雷門横丁一斉清掃の日でしたので、参加しました。と申しますか、私は、「浅草雷門横丁振興会」の副会長でして、会が区役所から借り受けた、清掃用具や、「大江戸清掃隊」の揃いの法被は皆、「ちんや」でお預かりしていますので、この行事を主宰しないといけません。
路面を皆で清掃するわけですから、雨がひどければ延期です。朝から冷たい霧雨が降っていたので、判断に迷いましたが、決行と判断。やると決めた以上は、ハリキッて、隊のツワモノ?どもを率いて奮戦しました。
この行事は、平成18年に、「浅草雷門横丁振興会」が結成されて以来、欠かさずに月に1度行われています。暑い日も寒い日もめげずに続けてきたわけは、「この横丁をなんとしても清潔な通りにしたい」という共通の願いがあったからです。
雷門横丁というのは、雷門通りのすじ一本北、つまり「ちんや」の裏の、細い通りなのですが、通りと通りの間の距離がさほどないので、雷門通りから雷門横丁まで敷地が続いている店が多く、そうした店は雷門通りに面して表口を、雷門横丁に面して通用口を設けています。で、平成18年当時問題だったのは、その通用口近辺、つまり雷門横丁に面した口の、ゴミの始末が、とてもだらしない店があったことでした。
ゴミの始末がだらしない店の中に飲食店がありました。「ちんや」も飲食店ですが、飲食店は生ゴミを出しますから、始末をよほどキチンとしないと近隣にご迷惑をかけます。生ゴミにネズミやハエ、ゴキブリが寄ってくるからです。そして悪いことに、その店にはホームレスまで寄ってきてしまいました。ヤツが連日出没するので、とても困りました。
もちろん、その店には何度も、個人的に申し入れをしましたが、口約束ばかりで、キチンとしたゴミ処理が実行されません。従業員に外国人が多く、オーナーが店をコントロールできていない様子でした。
このザンネンな状態を解決すべく、一人の女子が立ち上がりました。ウチの裏の、もんじゃ焼き「O」のU子ちゃんです。ちゃん付けなのはずっと年下だからです。「雷門横丁に「通り会」を作って、組織の力でゴミ問題に取り組もう」という彼女の音頭とりで、浅草雷門横丁振興会が結成された時、私は副会長となり、生まれて初めて、年下の女性の上官をかつぐことになりました。
そういう次第ですので、私の役どころはさしずめ参謀長といったところです。会の規約の起草、設立総会の準備を進め、平行して「大江戸清掃隊」として区役所に公式登録をしました。「大江戸清掃隊」に登録すると、清掃用具が借りられ、また揃いの法被も借りられるのです。横丁のメンバーが徒党を組んで、汚い店(つまり、他人の敷地)に入り込むには、揃いの法被がどうしても必要でした。その法被が届いた時は、「これでやっと、あの汚い店に立ち入って掃除できるぞ」と興奮したものでした。
やがて設立総会を経て、浅草雷門横丁振興会が無事結成され、最初の「一斉清掃」の日がやってきました。待ちに待った、討ち入り、じゃなくて立ち入りの日です。揃いの法被を着込んで、他人の土地に侵入し、当の店の人間が驚くのを無視して、ガンガンと掃除してやることができます。
気分が高揚した私は、集まったメンバーを前にさけびました。
「おのおの方、積年の憂さをはらす日がまいった。今宵めいめいが本懐を遂げるべし!」
「エイ、エイ、オー」
後日談ですが、あの汚かった店は倒産し、今のテナントさんに代わりました。今のテナントさんはキレいにしてくれているので、以前のような問題はなくなりました。毎月清掃することで、他の御店もゴミ処理に気を使うようになりました。また、会の共有でダストボックスを購入したので、さらに清潔になりました。 あーあ、興奮しないなあ、最近。
お読み下さり、かたじけない。住吉由良之助でござった。
*「ちんや」については、こちらです。
*「大江戸清掃隊」については、こちらです。
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