酢豚
『負け犬の遠吠え』で有名な、エッセイストの酒井順子さんが、最近すき焼きについて書いてた一文をみつけました。
実は、すき焼きが主題ではなく、酢豚を礼賛する文なのですが、酢豚との比較で、すき焼きが出てきます。
「私は子供の頃、料理における甘じょっぱい味が苦手でした。すき焼きにしても、肉が甘いという事態を受け入れられず、家ですき焼きを食べる時は一人で別メニューを食べていた。」
「ところが大人になってみると、甘じょっぱくて脂っぽいという味が、たまらなく好きになっていたではありませんか。味覚の幅が広がったと言うべきか、雑駁(ざっぱく)になったと言うべきかはわかりませんが、糖・塩・脂が集結してのお祭り騒ぎに身を任せることに、うっとりするようになったのです。」
「が、しかし。人生のベテランになってくると、次第に糖・塩・脂の祭りに、そうそう身を任せてばかりはいられなくなります。とてもおいしいのだけれど、上等な霜降り肉のすき焼きなどは、大量には食べられない。みたらし団子の豚バラ巻きにしても、2本目を食べたい気持ちは山々だったけれど、1本にしておいた。」
「今となっては、糖・塩・脂の負担を和らげてくれる(ような気がする)酢豚の酸味が、しみじみとありがたく感じられる私。あの酸味は一種の思いやりなのかもしれず、酢豚に酢を入れてみようと思いついた人に、心の中で手を合わせているのでした」
はい、とても正しい味覚遍歴と存じます。
そして、酒井先生に私からご連絡ですが、
すき焼きに酸味を加えることも「あり」ですよ!
卵にヨーグルトを入れるだけです。お試しあれ。
本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。 弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は4.233本目の投稿でした。
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