家族で囲んだ鍋の思い出
久しぶりに「すき焼き思い出ストーリー」にご投稿がありました。グスタフさん(千葉県 56歳 )から頂いた投稿は、こちら↓です。
<以下ご投稿>
ちんや閉店・長期休業のことを話すと「また行きたい」と妻。六代目とは高校からの長い付き合いですが、妻にとってもちんやは思い出深い場所。それは20年程前に遡ります。
私にはアメリカ在住の歳の離れた実姉がいました。私が8歳の時まで同居していましたが、大学卒業後就職し、直後にサンフランシスコ支店に転勤となり、そのまま向こうで結婚したので、25年もの間でほんの数回しか会えていませんでした。その姉が私の結婚前にみんなに会いに来てくれるというので、私はすぐちんやでの食事会を用意しました。
久しぶりの日本、すき焼きでの会食は喜んでくれるはずです。家族だけの気楽な集まりでしたが、母と兄夫婦と、私と婚約者と、アメリカ文化の姉。はじめは全員が変に緊張した雰囲気でした。
ちんやのすき焼きは見ても楽しめます。鍋に火をつけ、葱を並べ入れて肉を焼き、割下を回し入れ、卵を溶き、最初の肉を取り分けるお世話係の方の手際の良さ。みんなでその箸さばきを見ていると、葱が焼けて香ばしくなるうちに、肉がほどよく煮えてくるほどに、だんだんよそいきの顔がくだけてきて、さあとにかく食べよう、ということになります。
親しくなるには、やっぱり鍋。丁寧に肉を焼いてくれる様子も姉はとても興味深そうに観察していたし、久しぶりのオール日本語の会話に、姉は時々「これは日本語ではなんというのかしら?」と質問しながらも楽しそうな様子でした。
結婚式に姉は出席できなかったので、妻にとっての姉の思い出はこの時の記憶が全て。姉はこの2年後の2002年、アメリカで他界しました。
その時とは違う個室でしたが、数少ない姉の記憶が蘇り、しみじみとちんやの味を満喫しました。ご馳走さま。ありがとう。
<その他のストーリーは、こちらです。>
本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。 弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は4.153本目の投稿でした。
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