似て、非なる物ーサイコロステーキ
4/8の産経新聞が以下のように配信しました。「ペッパーランチ、事業継続に疑義。増資不調で有報に追加記載」=(前略)ステーキチェーン「ペッパーランチ」で昨年8月に相次いで食中毒が発生し売り上げが大幅に減少。フランチャイズチェーン店に営業補償金を支払った結果、今後の資金繰りに懸念があり・・・(後略)
この食中毒は、「成型肉」の「サイコロステーキ」(あえて「」付き)による食中毒事件でした。「成型肉」は肉の世界では、わりとよく知られた、フェイク的な商品です。これは挽肉を結着剤で固め、四角くしたものです。そういうふうに作ったものだ、ということをハッキリ表示した上で売るのなら、まあ、OKですが、それを「サイコロステーキ」と称して売るのは、どうなんだろう? と私は言いたいところです。「サイコロ」という言葉や「ステーキ」という言葉の定義が微妙なことを利用しているわけです。
「ペッパーランチ」さんは、その「サイコロステーキ」を、なんと、客が自分で加熱する方法で提供しました。「ステーキ」ならレアという食べ方が可能ですから、「サイコロステーキ」という名前の肉を、レアで食べようとする客が出てきても当然です。店の人間が焼くのなら、その「サイコロステーキ」が成型肉であることを知っていますから、レアはやめておくでしょうが、客は良くわかっていませんでした。それで、「成型肉」のレアを決行した客が出てしまったわけです。
普通のステーキ肉なら、表面が細菌に汚染されていても、内部までは菌が入り込んでいません。だから、表面を加熱すればその菌を殺菌できるわけで、それでレアでも食べられるのですが、「ペッパーランチ」さんの「サイコロステーキ」は上記のように、元は挽肉、つまりは練り物ですから、練る最中に、中心部に菌がもぐり込んでしまったら、レアでは完全に殺菌できません。そういう次第で食中毒(あた)ったと、所轄保健所も断定した模様です。
宝飾品の方面では、フェイク商品というものがあって、本物でないことをハッキリ表示して売られています。ところが、食べ物の方面の、フェイク的商品は、ハッキリ表示されていないことがよくあります。
私も「成型肉」は食べたことがありますが、上手に結着させて、肉のごとき食感を創り出しています。安さを実現しているわけですから、見ようによっては、値下げ努力にも見えます。しかし、「成型肉」であることをキッチリ表示せず、表示をあいまいにして売るなら、それはフェイクです、私的には。
この際、申し上げます。
フェイクと値下げ努力は、似ていて、非なる物です。
皆さまあ、お気をつけあそばせえ。痛いらしいですのよ、0-157は。(食中毒になられた、被害者の方に配慮して、今日は「ひひひひ」をさせて封印いただきました。)
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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