アガワ流介護入門
1935年生まれの父から、阿川佐和子さんの近著『看る力 アガワ流介護入門』(文春新書)を読み終えたから・・・と手渡されました。
この御本は、佐和子さんが父・弘之さんをみとり、今もお母さまを介護している体験をまとめたものですが、弘之さんが最後に世話になった病院の医師・大塚宣夫さんとの共著です。その大塚先生が父の知人の知人だとかで読むことになったようです。
さて、私も拝読しまして、大塚先生の
「医療より介護」
という考え方は、大変素晴らしいものだと思いました。
医療の発想と介護の発想が両立しない時に、介護を優先させるのです。例えば高齢者が、
すき焼きを食べたい!
と言った時、病院に外部の食材しかも生ものを持ち込むなどNGというのが医療の発想です。肉も卵も野菜も無菌ではないからです。
しかし大塚先生は、すき焼き良いじゃないか!なのです。すき焼きが感染症を引き起こすリスクがゼロでなくても重大なリスクなわけでもなし、すき焼きを食べることで患者が喜ぶのであれば、やろうという、お考えなのです。
大塚先生は当然医者ですから、「医療より介護」と心に決めるまでは葛藤がおありだったろうと思います。公に言い出した時は、同業者からの批判も多分あったでしょう。
しかし実際は、大塚先生の病院で最後の時期を過ごした、多くの高齢者と家族が喜びました。
佐和子さんは、最近この件で何度もインタビューされていますが、こう語っています・・・
「病室ですき焼きをしたこともあります。亡くなる前日も、私が持って行ったローストビーフをおいしそうに食べ、「ステーキもいいな」と。」
日本の介護現場がアンハッピーだとしばしば聞きますが、先生が違うとこうも違うのですね。敬服の一語でした。
「好物は喉につまらない」という格言?も秀逸でした。皆様もご一読を。
追伸⓵
東京商工会議所が主催する、第16回「勇気ある経営大賞」において、株式会社ちんやが「奨励賞」を受賞させていただきました。
受賞理由は、
「格付や等級ではなくすき焼きにあった肉の提供に向けた挑戦(適サシ宣言)」でした。
権威ある賞を弊社が受賞できましたのは、ひとえに皆様のご愛顧の賜物とあつく御礼申し上げます。
追伸⓶
今夏8月4日より「ちんや」ビル地下1階の「ちんや亭」が、
「肉の食べくらべレストラン」として再スタートしました。
今回すべての肉メニューに「ちょい食べサイズ」(ハーフサイズのこと)をご用意することに致しました。
くわしくは、弊ブログの8月4日号をご覧くださいませ。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて3.170日連続更新を達成しました。
すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。
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