成熟脳
私はかねて「食育」は重要です、特にお爺ちゃん・お婆ちゃんと一緒に美味しいものを食べて下さいね!と言ってまいりましたが、そのことを脳科学的に説明してくれる御本を発見しました。それは、
『成熟脳―脳の本番は56歳から始まる―』(黒川伊保子/著、新潮文庫)
脳科学者の黒川伊保子先生は、ご縁あって、お目にかかったことがあり、その後も新著が出ると読むようにしているのですが、今回の御本は、脳に起こる人生の波を書いたものです。曰く、
「ヒトの脳の一生は、面白いほど7年ごとに段階を経ていく。子ども脳から14歳までにおとな脳へと成長し、28年間であらゆる知識や感覚を得てピークを迎えるも、まだ試行錯誤を繰り返す。やがて更年期やもの忘れを経験し、心細くなるもの。だが、それは「老化」ではなく「進化」の証。物事の優先順位が見えてくる脳の最高潮期は、ようやく56歳で始まりを告げる! 」
・・・とうことで、最初に重要なのは「子供脳」です。
人の脳は、14歳以降「おとな脳」になって、どんどん色々なことを脳に記憶して行きます。暗記もの・受験勉強などに最適なのは、この時期です。
が、その前の「子供脳」は、
「五官が受け取った感性情報も丸ごと記憶していくのである。12歳までの記憶は、ときに、匂いや味を連れてくることがある。小学校のとき、友達のお父さんの車でプールに連れて行ってもらった記憶を想起したとき、その車の匂いや、その時口の中に入っていたキャンディーの味を鮮やかに思い出す」
これって、「すき焼き思い出ストーリー」にそっくりではないですか。
人の脳は、その後論理的なことばかりを集中的に記憶するようになり、やがて判断や決断をする段階に行きますが、その間感性は脇に置かれます。それが56歳まで。社会では「現役世代」と言われます。
そして56歳以降。
ここから人の脳は、能や書、古美術といったものを愛でるようになります。あるいは桜、紅葉、木洩れ日、舞い落ちる雪。
だから、56歳以上と14歳以下が一緒に食事をするのが良いのです。
料理やアートに関わっている皆さん、この御本は必読と思いますよ。
追伸
27日は火曜日ですが、隅田公園の桜が満開ですので営業致します。
地下一階「ちんや亭」も営業致します。どうぞ、ご利用下さいませ。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.948連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。
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