100年経営アカデミー⑤
100年経営研究機構さん、ハリウッド大学院大学さんが主催する、
「100年経営アカデミー」で、ゲスト講師として講演をさせていただきました。
「100年経営アカデミー」は“100年経営を科学する”をテーマに、長寿企業から長く続く経営の秘訣を体系的に学び、経営の中で実践していくことを目的とした、日本で初の講座です。
6/11から講演全文を公開しています。長いので16回に分けて少しずつUPしております。
<「100年経営アカデミー」住吉史彦講演(2017.6.10)>
ところが、です、私はそう願っているんですが、ある年の暮に、ある御家族のお嬢さんが色気づきまして、お父さん、芸能人は正月はハワイに行くのよ、私もハワイに行ってみたい!と言い出しました。
何言ってるんだ、お爺さんもお婆さんも、オマエとすき焼きを食べるのを楽しみにしてるんだぞ!えーやだー、浅草とかすき焼きとか、私、前からダサいと思ってたのよ。それに私、英語を勉強したいの!そう言われてお父さん、そうか、英語も習わせないとなあ、ということで、この一家はハワイへゴー、憐れ、お爺さんとお婆さんだけが浅草へ行きました。
行きはしたものの、オイ婆さん、オマエと二人ですき焼きじゃあツマラナいなあ。何よ、お爺さん、アタシだってアナタとじゃあツマラナいわよ、今日は帰りましょう!あららら~っていうことにならないようにするのが、浅草のすき焼き屋の、最も大事な仕事です。
私は、そう確信しまして、この15年ほど御家族づれ、それも二世代・三世代で「ちんや」へ来ていただくことに努力を集中して参りました。
ご接待の御客様も勿論弊店へ見えますが、ビジネスマン同士だと「すき焼き業界も改革のスピードを上げた方が良いんじゃないか!」とかツマらんことを言い出しかねませんね。で、私はご家族での利用に集中して考えて参りました。接待需要を捨てて、「資源を集中」したとも言えます。
そう考えて、この際経営理念をハッキリさせることにしました。文言は「心に残る思い出を!」。弊社は「すき焼きを売るのでなく思い出を売る」という次第です。最初のデジカメの件も、笑顔画像は思い出だから、最も重要だという認識になるんです。
このように、理念を即物的な話しにすべきでない、人の心に関係した話しにするべきだ、というのが私の考え方です。経営の目標は人生の目標でなければいけない。だから即物的な話しにすべきでないと思います。人生の目標なのだから、経営は、普遍的に人の心に訴える価値を創り出さねばならない、そう考えます。
その考え方に沿って、弊店は「思い出を創る」店だ、そう決めさせていただきました。
具体的なことも挙げてみますと、「記念日割引」という制度を作りまして、その日は割引率が倍になるんですが、「ちんや」メンバーズカードの会員になる時にお客様が自分の好きな日を登録できる、というのがミソです。
勿論自分の誕生日を登録してもOKなのですが、むしろ多いのは奥様の誕生日とか、結婚記念日とか、お孫さんの誕生日、あるいはご先祖の命日もあります。不祝儀でも良いんです。会社をやっている人は創業記念日を登録して社員さんを連れて見える、というようなパターンがあります。
ここでもちろん個人情報を頂戴はするんですが、私は余計なことを知ろうとは思っていません。お名前とご住所と記念日だけを知ればOKです。お客様の年収とか地位とか興味ありません。
その方が、自分の記念日にすき焼きを食べたい方なのか、そしてその記念日がいつなのかだけを私は知りたいのです。
傾向を見ておりますと、男性は結婚記念日を登録なさることが多いですが、女性は自分の誕生日です、ゼッタイに。恐ろしいことですね、はい。え~何でしたっけ?そう、そう、「記念日割引」という制度の話しですが、この制度の良い点は、どういう理由でお客様が見えたのかハッキリすることです。そしておめでたい日であれば、おめでたい趣向でサプライズのサービスが出来ます。
実は『牛っとハート』というネーミングを商標登録したのですが、なんの名前かと申しますと、ハート型に成型した牛脂の名前です。最初に鍋の底に敷く脂の名前です。結婚記念日に見えた御夫婦には、その脂を使って、すき焼きをお作りするんですが、結構喜んでいただけます。またFBやツイッターにUPしていただいています。
そういった努力をしつこく続けて行けば、浅草のすき焼きを、その方の人生における必需品に入れていただくことも可能ではないか、イヤ絶対に可能だと確信しております。
実際の課題としては・・・
<今日の分は終わり。続きは明日の弊ブログにて>
追伸1
6/1発売の「婦人画報」7月号(創刊記念号)に載せていただきました。ありがとうございます。
今回の特集は、なんでも婦人画報社さんが「総力をあげた特集」だそうですが、題して、
「世界が恋するWASHOKU」。
旨味とか醗酵とかを採り上げた後、しんがりがWAGYUです。
追伸2
拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。
四六判240頁
価格:本体1600円+税
978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.664日連続更新を達成しました。
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