冷凍野菜
(本日やや長文です)
「私は日々、自分が損か得かだけを考えて暮らしていないか」
これは、たまたまネットで見かけたコラムの中の一文でして、著者の保科省吾さんという方がどんな方かまったく存じませんが、大変考えさせられましたので、ご紹介しました。
本当に、その通りだと私も思います。
今の日本を観てみますと、あたかも全消費者がスーパーのバイヤーであるかのように、1円でも安い物を争って買い求めています。
以前なら「吝嗇家」と軽蔑されて、交友の輪から外されかねないような行動が、今はテレビで推奨されて、皆がマネしています。
なんで、こんな国になったんでしょう?
これでは黒田さんがいくら金融緩和しても、経済は上向きません。
ほんの少し高くて良い物を日頃から買うだけで、どんなに生産者が喜び、経済が回って行くというのに、全員が「1円でも安い物を」とやっていては、小ずるい業者の「思うツボ」です。悪徳な業者の「思うツボ」になる場合もあります。
保科省吾さんは、こうも書きます、
「相手の立場を想像する余裕がなくなってはいまいか」
本当に、その通りだと私も思います。
本日やや長文ですが、そもそも保科さんが、こういうコラムを書いたのは、NHK『あさイチ』が「冷凍野菜を使おう」というと特集をやったからです。
冷凍野菜は、旬の最も安いときに生産者から大量に購入して冷凍するので値段が安いのです。だから、野菜が高い今、「冷凍野菜を使おう」というわけです。
野菜が高いと言っても、スマホのゲーム代に比べたら大したことはありません。それなのに、以前なら「吝嗇家」と軽蔑されて、交友の輪から外されかねないような行動が、今はNHKで推奨されてしまっています。残念です。
この特集に対して、一人の農家さんがFAXを送りました。
「私は野菜農家です。天候不順で収量が上がりません。値段は上がっていますが、ぎりぎりでやっています。こういうときに、野菜は買わないで・・・。と言う特集をやられて、野菜が売れなくなると、生活がたちゆきません。普段より高くて申しわけありませんが、できれば野菜を買って下さい」
私は、この番組を視ていませんでしたが、このFAXが読み上げられると、
「虚を突かれたのだろう、スタジオにいた井ノ原さん始め、誰も反応しない。何しろ番組の趣旨を否定する内容なのだから。そして、以降は何もなかったように番組は進行した」のだそうです。
この様子を視ていた保坂さんは「がーんと頭を殴られたような気がしていた。」そしてコラムに書いた感想が、
「私は日々、自分が損か得かだけを考えて暮らしていないか」
「相手の立場を想像する余裕がなくなってはいまいか」
でした。
本当に、その通りだと私も思います。
日本停滞の本質を、ここに見つけた思いがします。
ほんの少し高くて良い物を、買うことにしませんか?
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978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.452連続更新を達成しました。
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