板前さんにすまなかった

おお、中国人によるこういう文章を初めて読みました。

マトモな感覚じゃないですか。

こういうマトモな感覚が今まで押さえ込まれていたことが異常なんです。押さえ込まれて来た原因を追究しない限り、日本のインバウンド観光産業に未来なんて無いですよ・・・

おっと、先走りました。

先ずは、その文章を読みましょう。

2015年7月30日に中国紙「深セン晩報」に掲載された、中国人観光客の体験談です。

「長崎はふぐが有名だと聞き、ランチはぜひふぐ料理を堪能したいと考えていたが、ツアーのランチ時間はわずかに1時間。しかもバスの停車場所周辺には料理店がなく、移動時間と店を選ぶ時間、料理が出るまでの時間を考慮するとふぐ料理を食べることは不可能だった。」

「結局日本料理店に入ったが、時間の関係で料理人を全く尊重しないような食べ方をしてしまった。あんなに新鮮なマグロを見たことはなかったが、それを楽しむことはできず、みそ汁とごっちゃまぜにし5分でランチを済ませそそくさとバスに戻った。」

「せっかく日本の板前さんが心をこめて作ってくれた素晴らしい料理だったのに、今回ほど料理を台無しにしたことはない。ツアーの時間配分が憎くてしょうがない。」

「重要なのは、日本のグルメが精緻を極めていることだ。食いしん坊の私にとって、今回の長崎旅行は心にぽっかり穴が空いた思いだ。この穴は必ず埋めなければならない!」

これは極端な例ではありません。

観光客ご本人は「板前さんにすまなかった」と思っているのに、ツアー会社は平気なようです。こういう組み立てのツアーを連日日本に送っているのでしょう。

日本のふぐ屋の側はどうだったのでしょう。イヤな気持ちの筈ですが、時間をとるようツアー会社に強硬に申し入れていないのだから、内心「どうせ中国人だから・・・」という気分が在ったのではないでしょうか。

もちろん私には、このふぐ屋さんに対して同情の気持ちがあります。

上に「強硬に」と書きましたが、「こっちは客なんだぞ」という態度の客やツアー会社に対して、こちらの希望を通すには「そんなに時間が短いのなら、この予約はお請けできません。店の側からキャンセルさせていただきます!」という気迫が必要です。実際私はこの台詞を何度も使っています。

しかし、いったん「中国人御用達の店」に成ってしまい、客の相当割合が中国人に成ってしまうと、売り上げが減ることを恐れてこの台詞が言いにくくなってしまうのです。

でも、言わねばなりません。それが、中国人の為にも成るんですから、言わねばなりません。

今回の記事でよく分かりました。

追伸、

すき焼き思い出ストーリーの投稿を募集しています。

すき焼きは文明開化の昔から、日本人の思い出の中に生きてきた料理です。でも残念ながら、その思い出話しをまとめて保存したことはなかったように思います。

ご投稿くださったものは、「ちんや」創業135周年を記念して本に纏め、今後店の歴史の資料として、すき焼き文化の資料として、末永く保存させていただきます。

どうぞ、世界に一つだけの、すき焼きストーリーを是非、私に教えて下さい。

投稿〆切は9月末日です。

既にご応募いただいた、50本のストーリーはこちらです。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.008日連続更新を達成しました。

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM
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