銀座資本論
私の学校の同期生で、銀座の老舗仕立て屋「壹番館洋服店」の社長である渡辺新君が本を出した聞きました。
素晴らしいことです。
しかしタイトルと宣伝文句を見て、私は
?!!
タイトルは『銀座資本論』。
「マルクスもピケティも銀座の商いを知らない。ていねいでこまめで濃い商いこそ、これからの時代を生き抜く武器になる!」
新君はイギリスでカッテイングを、イタリアでデザインを学んだ人で、社長に成った今でも、自分でお客様の採寸をしています。
その人がピケティとかって、いったい何事?と思いつつ、本を手にしましたが、内容は実に共感できるものでした。中身はやはり自分で採寸する人の本で安心しました。
この本は、銀座で長期間商いを継続している御主人さん達を新君が訪ねて行くもので、一見景気や世相に翻弄されているかに見える銀座において、
品質(本物であること)や人間関係を大切にしている方々が、こんなに大勢いるのだと伝えてくれます。
9件の対談の全てに含蓄がありますが、なかでも象徴的なのは、鮨屋さんが銀行から融資を受けた時の話しです。
銀座に新店を出すのですから、高額の設備投資が必要ですが、これといった担保がなく、窮した御主人が、
担保は腕です!
と言ったら審査が通ったとか。
技術があることはもちろんですが、それが「担保だ」と言える気概に銀行員は融資したのでしょう。この事例を「時代ですね」と片づけたくはないところです。
銀座の資本と言えば土地建物と思いがちですが、本当の資本はそういったものではないと、この本は教えてくれます。
お見逸れしやした。
追伸
『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。
この本は、
食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、
全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、
この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。
是非是非お求めください。
弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。
是非。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.878日連続更新を達成しました。
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