チョイと転載『日本のごちそう すき焼き』①

「すき焼き大全」とも申すべき新刊本が、平凡社より刊行されました。

タイトルは『日本のごちそう すき焼き』。

この本は、食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、私も勿論執筆に加わっています。

以下に私が書いた部分を、チョイと転載します。もちろん全文を転載するわけにはいかないので、さわりだけです。悪しからず。

<以下、転載>

私の祖先が江戸時代から従事してきた狆(ちん)の商いをたたみ、料理屋に衣替えしましたのは明治十三年(1880年)のことでした。私は、そこから数えて六代目の当主です。

在り難いことに店主が代を重ねるのに合わせ、三世代・四世代・五世代に渡って御利用下さる御客様に恵まれてきました。

その、御利用下さる御客様の舌に馴染んでおりますのは、手前どもの、かなり甘目の割下です。東京下町の人々が好んできた味です。御客様の中には地元で洋食店を経営なさっている方もおいでですが、その御店のビーフシチューは、やはりソースが甘目で、お互いに行き来して食べ合っています。

そうした味を「美味しい!」と感じる味覚は、本当に在り難いことに、御客様から、そのお子様へ・お孫さんへと継承され、その家族の中で共有されています。お爺ちゃんが好きなすき焼き屋にお孫さんも一緒に行ける、そして同じ鍋をつつくことが出来る、それこそが、「ちんや」という店の最大の存在意義だと、私は考えています。

浅草には初詣・春のお彼岸・花見・夏祭り・花火大会・秋のお彼岸と、四季の伝統的な行事がありますから、家族揃ってお出かけいただける機会がたくさんあります。そんな折にすき焼きを食べれば、ご家族の思い出・ご家族の歴史を造っていただけると思います。

そのお手伝いをする仕事に、歴代の当主は人生の全てを捧げて来ました。当代の私も全く同じことです。

さて肉のことも少しご紹介しましょう。まず割下の味付けが甘いですから・・・

<続きを読みたい方は・・・>

弊店の店頭でも販売していますし、こちらからでもネットで購入できます。

是非是非よろしくお願い申し上げます。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.724日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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