気持ちなんて
どんな会社の、どんな服か存じませんが、あのCMのコンセプトは良いと思います。
山田優さんが出ている、ブランド「FABIA」のテレビCMのことです。交通広告もやっていて地下鉄のドアの上でも観られます。
さて、そのコンセプトは「気持ちなんて、服で変わる。」
CMの中で山田優さんには様々な災難が降りかかります。
朝起きたら、ひどい寝ぐせだった、
天気は雨、
書類を持って歩いていたら、人が激突してきて落としてしまった、
そして恋人の裏切り。
しかし、ネガティブなことがあっても「ファビア」の服で前向きに成れ、輝いて生きることが出来る、というストーリーです。
品物というものは、料理もそうですが、人に単なる機能だけをもたらす物ではないですね。
料理屋をやっていれば、辛い状況の時に美味しいものを食べて元気を取り戻そうする人がたくさんいることを知ります。
池波正太郎のお母さんは夫と離婚し、女手一つで子を育てあげたそうで、そのためにはそれこそ「死物狂い」で働かざるを得なかったのですが、その最中お母さんはよく一人で寿司を食べに行っていたそうです。
『食卓の情景』に描かれている、池波と母とのやりとりは、
「あのころ,私はつとめが終ると,御徒町の蛇の目寿司へ,よく行ったもんだよ」
「ひとりで?」
「そりゃ,ひとりでさ」
「おれは一度も,つれて行ってもらわなかった」
「だれもつれてなんか行かない.それだけのお金がなかったからね.私ひとりで好きなものを食べていたんだ」
「ひどいじゃないか」
「女ひとりで一家を背負っていたんだ.たまに,好きなおすしでも食べなくちゃあ,はたらけるもんじゃないよ.そのころの私は,蛇の目でおすしをつまむのが,ただひとつのたのしみだったんだからね」
「お一人さん」の中には、そういう方が混じっておいでと思います。勿論面と向かって聞いたわけではないですけどね。
寿司に負けず、
「気持ちなんて、すき焼きで変わる。」
~そういうすき焼きで在りたいと思います。
追伸
JALさんの機内誌『SKYWARD』の4月号
「JAPAN PROJECT 東京ようこそ、おもてなしの首都へ」に載せていただきました。在り難いことです。ご搭乗のおりにご覧ください。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.517日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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