ポッキリ
今日は「基本料金ポッキリ原理主義」の話しをしてみます。
料理代・税金以外はウーロン茶さえ、有料のものは注文したくない、という、あの原理主義のことです。
火曜の昼時のイタリアンなどに参りますと、2.160円ランチと水だけの方が多いです。
結構美味しい、有名な店で、そこのランチが2.160円だというだけで既に充分オトクなのですから、グラスワインとか、何かもう一品とか注文したらどうなのだろう、と思ってしまいますが、そうは原理主義者が卸しません。
とある私の知人は、店がそういう客ばかりになると、店の活気というものが無くなって、つまらない店になってしまう、と言っていましたが、私もそう思います。
そして私は、この主義は、店の活気がなくなる原因程度のものではなく、収縮する平成日本の元凶だと考えています。大真面目に。
そういう方が結構多数世の中においでです。それでデフレがなおらないんです。
仕方ないので、「ちんや」では、紛争が起こることを避けるべく、無理無理有料のウーロン茶を勧めるようなことは、決して致しません。そこは慎重に営業しています。
そもそもウーロン茶で儲けよう、なんてセコイことを私は考えませんし。
それでもクレームが来ることがあるんです。
ご注文をうかがう際に、無料のお茶や水が在るのに、さも有料のソフトドリンクをとらないといけないかのような言い方をされた。不愉快だった!というクレームが。
変ですね。これは、私が日頃言っていることと真逆です。逆のことが起きていた、という話しです。
そういう指導はしていません、と申しましても、
言ったわよ。スゴい気分悪かったのよ。ゼッタイ・タシカに言ったのよ。
ということでラチがあきません。
これだけ慎重にしていても、この通りということから、この宗旨の、狂信・不寛容を感じていただけると思います。
それでは悲しいので、私はと申しますと、例えば寿司屋さんに行った時は、なるべく1カンお替わりをします。ひと通り終わった後、
大将、さっきのコハダが美味しかったから、もう1カンいただけませんか?
と言った時の大将の嬉しそうな顔が見たいからです。
そうでしょう!美味しかったでしょう。今日は良いヤツが入ってたんですよ!
と嬉しそうに握ってくれます。
貴殿も、是非「さっきのコハダ」を試してみて下さい。そうすれば、次回接待で同じ店に行った時も大将は、きっと貴殿のことを覚えていてくれます。ああ、コハダお替りの御客さんね!と。
そうすれば接待もきっと上手くいきます。人は、飲食店で信用されている人を信用するものだからです。大将の機嫌が良ければ、
お得意さん、コハダの旦那の会社にたくさん注文出してやって下さいよ!
なんて軽口を言ってくれるかもしれません。
拝察しまするに、おそらく貴殿は住宅ローン返済の最中で、お子さんの教育費もかかるのでしょう。大変だろうと思います。
でも接待が成功するためのコストと思えば、コハダ代は大したことないと思いますよ。
コハダ1カンが仮に500円だとして、1億人が注文すれば、500億円も日本経済が成長します。
税収だって増えます、500億円の8%の4億円が国庫に入りますから、簡単な保育施設や介護施設なら、その金で作れます。
そう、何度も申しますが、「基本料金ポッキリ原理主義」こそが収縮する平成日本の象徴です。
そんなこと、住吉は儲けたくて言っているんだ!と誤解されかねないのを承知で今お話ししています。
贅沢しろと言っているわけではありません。店に入る前に基本料金プラス数百円を予算化すれば良いだけのことです。
しつこく申します、ポッキリはやめましょう。この国がどんどんつまらなくなります。
追伸
JALさんの機内誌『SKYWARD』の4月号
「JAPAN PROJECT 東京ようこそ、おもてなしの首都へ」に載せていただきました。在り難いことです。ご搭乗のおりにご覧ください。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.509日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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