オリンピックの魔物
私はオリンピックが好きではありません。
え? 国民がテレビに夢中で料理屋に行かないから、そういうことを言うんだろうって?
ええ、まあ、そういう事情も在ることは在りますが、正確に申しますと、オリンピックが嫌いというより、煽りたて騒ぐメデイアが嫌いです。
その騒ぎが重圧となって選手に悪影響を与え、実力以下の成績に終わる=所謂「オリンピックに棲む魔物」という現象が起きますが、彼らのせいです。
だから「嫌い」というより、選手の皆さんが「気の毒で視ていられない」というのが的確な表現です。
古くはマラソンの円谷幸吉さんの自殺。
最近では、リレハンメルの「世紀の失速ジャンプ」の原田雅彦選手が酷い嫌がらせを受け続けた事件。
そういう話しが、とてもとてもイヤです。
最近妙に「団体競技」を新造する傾向は特にイヤです。
国家の威信は、出場する全選手が均等に負えば良いのに、「団体」を造ることで、その競技に出る数人の選手に威信を背負わせ、「魔物」度を上げて苦しめ悩ませ、メデイアはそこを盛んに放送しています。私は視ておられません。
ここから話しは少しズレますが、所謂「老舗」店の経営者に対するメデイアの態度も、オリンピックとまったく同じです。
彼らはインタビューなどで、ことさら「代を継ぐ重圧」について聞いてきます。重圧を受けて人様が悩み苦しむ様子こそ、彼らにとって最良のコンテンツだからです。
私は毎回イラっとしますが、その気持ちを抑えて、オリンピアンのように回答します。
「重圧を楽しめる経営者が勝てる経営者だ」と。
はい、皆さん、すぐにお分かりでしょうが、これは内村航平選手のパクリです。
想像していただきたいのですが、経営者にとって日々のストレスは、御約束です。
主なるストレスの源泉は「老舗」ということで、お客様の期待度が、そもそも高いことです。
その「老舗」の経営者であるところの私のメンツが、なんらかの不具合で潰れることなど、日常茶飯事ですが、では、そのたびに怒って担当者を叱責した方が良いのでしょうか。
ウチのスタッフは「老舗」経営者などに成った経験はありませんから、そのメンツなるものを体感したことはないですね。だから、私がイラついていても、意味が分からないでしょう。
叱責されても訳が分からず、
私は社長に嫌われている!
としか思わないことでしょう。その様子を見て、本人以外も仕事を怖がるようになり、楽しめなくなります。
叱責⇒辞職⇒募集⇒採用⇒叱責⇒辞職⇒募集⇒採用⇒叱責
というサイクルを繰り返して、結果経営に大きなダメージを与えることに比べれば、私の「老舗」のメンツなどは小さいことであることが、すぐ分かります。
そう、だから経営者は上村愛子選手や髙梨沙羅選手を参考にした方が良いと思います。
・・・と、ここにあえて書いて公表することで、私も自分をコントロールしようと試みています。ハッキリ申しまして、日々イライラしっ放しですからね。
ソチにお出になる選手の皆さんも、願わくば、重圧を楽しんでいただきたいと思いますが、それはなかなか難しいかもしれません。選手は若いですからね。
失敗するシーンを視たくないから、私は観戦しません。今回も魔物にとり憑かれる選手が多いことでしょう。
ああ、ソチよ、
そちもワルよのお。
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