慶應鶴岡発の酒

慶應義塾「料飲三田会」は、山形県鶴岡市の加藤嘉八郎酒造の若旦那を新会員として迎えました。
若旦那は若い頃画業を志していて、慶應義塾を卒業してはいないのですが、義塾から「特選塾員」に選ばれましたので、当然入会の資格があるということで、ご入会いただいた次第です。
「特選塾員」は、普通の卒業生でなくても義塾に特別の貢献があった方が選ばれる制度でして、例えば、早稲田を卒業した方が慶應の教授になり、永らく勤務した場合などがあります。
その「特選塾員」に鶴岡の蔵元さんが選ばれた経緯を説明するのは、多少時間がかかりますが、以下に。
まず義塾は2001年から鶴岡に先端生命科学研究所(「鶴岡タウンキャンパス」)を開いています。この研究所は最先端のバイオテクノロジーに特化した研究所。そのバイオロジーが酒につながり、加藤嘉八郎酒造さんにつながります。
研究所はテクノロジーを応用して「慶應鶴岡発の酒」=「知性を磨く酒」を造ろうと考えました。
「独創的なアイデアの多くは会議室や教室ではなく酒席で生まれる」
ということで、人の知性を活性化させる酒を、と考えたそうです。
酒には、そもそもGABAやオルニチンなど、抗ストレス作用のある物質が入っていますが、それが多い酒を造ろう!ということになったそうです。
で、その酒造りを実際に引き請けておられるのが、加藤嘉八郎酒造さん→「特選塾員」という経緯です。
もうすぐ義塾は、なんと酒販免許を取り、東京のキャンパスでも、このお酒が買えるようになるとかで、結構なことと思っておりましたら、悲しいことに、
鶴岡は、6月18日の地震に襲われました。
蔵に人的被害はなかったとかで、それは不幸中の幸いですが、酒瓶は相当数倒れて割れてしまったと聞きます。
お辛いと思いますが、何とか、ここをしのいでいただきたいと思います。

追伸
令和の新時代に向け、「ちんや」は「肉のフォーティエイト宣言」を致しました。ご理解・ご愛顧賜りたく、お願い申し上げます。

Filed under: 飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

ご招待

慶應義塾「料飲三田会」の花街例会を向島の「きよし」さんで開催しました。
この会に、新入会員さんは「ご招待」と致しました。
「ご招待」って、タダのこと?
はい、そうです。
剛毅でしょう!
私が「料飲三田会」の会長になって始めた、一番剛毅な事業が、これです。
私の会務運営は基本的には穏健なもので、先輩方のやってこられた事業を大きく変えていません。
新しくやりましたのは、まず
小規模なお店を会員だけで借り切る「プレミアム例会」。
人数限定となると、当然「先着順」になりますので管理で面倒です。またお店の「貸し切りギャランテイー」の金額を超えるため、会費が高めになってしまいますが、やった結果は大変美味しくて良かったと思っています。
それと、もう一つの新規の試みが、この「ご招待」です。剛毅でしょう!
大規模な宴会だと若い人同士が集まってしまいがですが、料亭で少人数なら世代間の融和が図れるので良いのでは?と思っています。
それに、新入会員さんは入会の時に入会金をいただいているので、それを花街例会に振り向ければ、会としての出費は、そう大きくはないですからね・・・
あ、大して剛毅でないのがバレちゃったか、な。

追伸
令和の新時代に向け、「ちんや」は「肉のフォーティエイト宣言」を致しました。ご理解・ご愛顧賜りたく、お願い申し上げます。

Filed under: 飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

旦那衆がやって来た!

松阪市の、江戸老舗の連続トークショーが好評のようです。
そのトークショーは「松阪観光交流センター・オープンスペース連続講座」という講座でして、「連続」と申しますのは、「駒形どぜう」さん、「ちくま味噌」さん、「江戸屋」さん、「いせ辰」さんといった江戸の老舗の当主が続けて登壇するからです。タイトルは、
「江戸老舗の旦那衆が松阪にやって来た!」
まず5月5日が「駒形どぜう」さん。今後は、
9月1日が「ちくま味噌」さん
11月16日がブラシ・刷毛の「江戸屋」さん
来年の1月18日が千代紙の「いせ辰」さん、そして
2月22日が不肖・私と続きます。
トークのお相手は、全回とも歴史小説作家の河治和香先生。
河治先生とは、小説『どぜう屋助七』(2013年)に狆屋時代の「ちんや」を登場させていただいて以来のおつきあいですが、最近『がいなもん 松浦武四郎一代』という小説を出されました。その武四郎が松阪出身ということで、今回の講座が出来上がったようです。
先陣の「駒形」さんの回の件は、地元の新聞の他、中日新聞にも採り上げられたそうです。
私も登壇が楽しみです。
ちなみに2020年2月22日(土曜)は新天皇陛下のお誕生日の前日で、お誕生日が日曜に当たるので振替休日が付いて3連休になりますから、東京の人も聞きに行き易いですよー(笑)

追伸
令和の新時代に向け、「ちんや」は「肉のフォーティエイト宣言」を致しました。ご理解・ご愛顧賜りたく、お願い申し上げます。

Filed under: 飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

ドーバーソール

国際観光日本レストラン協会の理事会が上野公園の精養軒さんで開催されましたので、参加しました。もちろん、その後の食事会にも参加させていただきました。
精養軒さんは、そもそも1872年に、明治の元勲・三条実美や岩倉具視の援助により、築地に「西洋館ホテル」として創業。その築地の建物は関東大震災で燃えてしまいますが、それ以前に上野公園に出していた支店を中心に今日まで発展してこられました。
オーソドックスなフランス料理を頂戴して、結構と思いました。
が、
「オーソドックス」とは何?とあらためて聞かれたら、私は答えられるわけではありません。
では、どこがオーソドックスな感じがしたのでしょう?
食材を世界から集めている点かもしれません。
最近でこそ、国産の「顔の見える食材」を使うことが、フレンチでも多くなりましたが、かつては高級なフランス料理屋では、食材は世界的に有名なものが珍重されました。
例えば今回、
ドーバーソールのタラバ蟹巻き
という一品が出ましたが、ドーバーソールとは何でしょう?
シタビラメに似たカレイ目の魚で、ドーバー海峡のドーバー港に水上げされるものが有名なので、「ドーバーソール」と言われているそうですが、食べ手に、世界の名産の知識がないとメニューに入れても面白くはないですよね。
昔のフランス料理には、そういう常識、そういうノリがありました。
しかし最近では、どちらかと言うと、国産の、「○○町の△山□彦さんが育てた」食材が珍重されますね。業界の感覚もだいぶ変わったものだなあ、と思った一夜でした。
御馳走様でした。

追伸
令和の新時代に向け、「ちんや」は「肉のフォーティエイト宣言」を致しました。ご理解・ご愛顧賜りたく、お願い申し上げます。

Filed under: 色んな食べ物,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

第48回

第48回「国際ホテル・レストラン・ショー」(HOTERES JAPAN2020)企画委員の委嘱状が日本能率協会さんさから届きましたので、喜んで応諾いたしました。
このショーは、ホスピタリティとフードサービスの商談専門展で、日本能率協会/日本ホテル協会/日本旅館協会/国際観光日本レストラン協会/国際観光施設協会が共催しています。およそ2000のブースが出店する、この業界では日本最大の展示会です。
その企画内容を検討するために毎年「企画委員」が任命されていて、不肖の私も2015年から務めさせていただいています。
2020年はお台場のビッグサイトがオリンピックの関係で使えないため、幕張メッセでの開催となります。会場が遠方になるので、集客に力を入れないといけないなあと思う次第です。
他の委員の皆様、能率協会さん、よろしくお願い申し上げます。

追伸
令和の新時代に向け、「ちんや」は「肉のフォーティエイト宣言」を致しました。ご理解・ご愛顧賜りたく、お願い申し上げます。

Filed under: 飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

子持ちどじょう

日本料理業「東京芽生会」の例会が、浅草の「どぜう飯田屋」さんで開催されましたので、参加しました。
どじょうの時季は真夏ですので、暑い盛りにどじょう屋さんに行く人が多いかと思いますが、その前の6月は「子持ちどじょう」の時季でして、これもまた面白いものです。
どじょうの産卵期は4月から7月で、天然どじょうであれば、水田などで夜間に産卵が行われるそうです。残念ながら農業環境の変化で、現代の水田はどじょうが住みづらく、天然ものは貴重品です。
「どぜう飯田屋」さんは、最近裏手の新館をリニューアルされ、そこで頂きました。
御馳走様でした。

追伸
令和の新時代に向け、「ちんや」は「肉のフォーティエイト宣言」を致しました。ご理解・ご愛顧賜りたく、お願い申し上げます。

交代

浅草料理飲食業組合の定期総会に参加しました。
今回、10年間組合長を務められた「どぜう飯田屋」の飯田龍生さんが退任され、浅草うまいもん「あづま」の染谷孝雄さんに交代されました。
飯田さんの永年のご努力に心より御礼申し上げると共に染谷さんのご活躍に期待します。

追伸
令和の新時代に向け、「ちんや」は「肉のフォーティエイト宣言」を致しました。ご理解・ご愛顧賜りたく、お願い申し上げます。

Filed under: 浅草インサイダー情報,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

御会食場

とらんぷさんが来日されました。
令和最初の国賓だとかで、宮中晩餐会も開催されたそうです。
では令和から四代さかのぼる明治最初の宮中晩餐会は、どういう様子だったのでしょう?
それを研究した本が、
『天皇のダイニングホール 知られざる明治天皇の宮廷外交』です。
この御本は、山﨑鯛介さんなど何人かの学者のさんの共著。日本で宮中晩餐会というものが成立した頃、明治天皇と昭憲皇太后が、どのように外国からの賓客や国内の要人をもてなしたかを、「建築」「テーブルアート」「人物」という三方面から描いた御本です。
実はこの御本には、『くらべる値段』で「ちんや」を採り上げて下さった、おかべ・たかしさんが「編集協力」で製作に参加されていたので、拝読したのでした。
おかべさんは明治天皇の生涯を描いた絵画を展示している「聖徳記念絵画館」のオフィシャルガイド本を編集した経験がおありで、当時の図版に精通しておいでで、そうした図版がこの御本にふんだんに使われているので、この御本は、学者さんの本ではあるのですが、カラフルで読み易い御本でした。
さて、この御本に詳しく書かれている通り、明治最初の宮中晩餐会の主な会場は「赤坂仮御所御会食場」でした。
「御会食場」は宮廷外交の場として使われた後、大日本帝国憲法を制定する会議の場所として使われ、その為「憲法記念館」と呼ばれていた時期もありましたが、昭和22年からは明治神宮の結婚式場として使われるようになりました。
それが「明治記念館」です。
その「明治記念館」さんで、先日「国際観光日本レストラン協会」の関東支部総会が開催されたので、私は久しぶりに訪問しました。
オーソドドックスなお料理で、安心して食べられるのは良いですね。ご馳走様でした。

追伸
令和の新時代に向け、「ちんや」は「肉のフォーティエイト宣言」を致しました。ご理解・ご愛顧賜りたく、お願い申し上げます。

Filed under: 憧れの明治時代,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

超二流

二位じゃダメなんですか?!二位じゃ?
というレンホウ議員の発言は、今や民主党政権の残念さを象徴する発言のように言われています。
が、皆さん、本当に二位や二流はダメなんでしょうか?
一位、一流、最高を目指したばかりに、無理のある仕事になってしまっていることって、世間に多くないですか?
と内心思っておりましたら、もう一人が一流を目指さない方がおいででした。高松に。
高松市の料亭「二蝶」さんをお訪ねした件は昨日の弊ブログに書きましたが、御主人のお話しを伺う内、御主人のモットーが
「超二流」
であることを知りました。
御主人は勉強家で、一流のお店のことをちゃんと知っておられるのですが、地方の料理屋という前提の中では、一流や超一流を狙った時に生まれる違和感を嫌い、そうした違和感を避けて仕事をなさっていると言います。良いお考えと感心しました。
この話しを東京に置き換えます。
東京はたしかに日本の首都で、経済力もここに集中しています。
では、その東京では必ず「日本で最高」の食材を食べるべきでしょうか?
その「日本で最高」の食材の産地が遠い遠隔地であって、東京とは全く風土の違う土地の産物であったとしても、それを遠路取り寄せ、高い値をつけて売るべきでしょうか?
これは真剣に考えないといけないテーマだと思います。
地方の生産者の人は、どうしても東京を目指しがちです。
香川の牛の生産者さんもそうでした。優秀な牛を、地元に出さず東京ばかりに出荷するので、「二蝶」の御主人は県庁の農政部に苦情を言いに行ったことがあるそうです。
が、地元で親しまれることより先に、まず東京で高い値がつくようにしたいと考える県は聞く耳を持たなかったと聞きます。いったん安値で安定してしまうと値段を上げて行くのが難しいと考えたようです。
ブランド志向の罪
一流志向の罪
だと思います。
評判が良くて皆が買いにくれば自然に値段は上がると私は思うんですけど、公務員としては知事さんの任期中に高値がつかないと困るらしいのです。とほほ。
私の店は、東京は東京ですが、下町です。
「超二流」
参考にしたいと思います。

追伸
本日は浅草神社例大祭(=「三社祭」)の中日です。
例年、祭礼期間3日間(5/17〜5/19)の内、1日は必ず雨が降りますが、今年はどうでしょう。
主な行事は、
18日正午 町内神輿連合渡御(浅草寺境内)
19日午前6時 本社神輿「宮出し」(浅草神社境内)→午後8時頃まで各町渡御

Filed under: ぼやき部屋,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

うどん県

国際観光日本レストラン協会の会合で高松市の料亭「二蝶」さんを訪ねました。
最近香川県は「うどん県」だと自称していて、それが結構当たっていたりしますが、そのような恐るべき単純化が良いわけはないと私は思います。一度「二蝶」さんを訪ね、地元の食材を使った献立「美味讃岐の旅」を食せば、ここが食の都とも申すべき土地であることが分かります。
まず当然ながら瀬戸内の恵み、そして南の山塊が近いことから山の幸もあるのに、訪問者が三食うどんを食べているのは、いかがなことかと思います。
「二蝶」さんは店の建物も素晴らしいです。数寄屋風の建物は、国(文化庁)の登録有形文化財に指定されているとか。
もう一つの高松の魅力は花街があることです。
四国と本州を結ぶルートが宇高連絡船だけだった頃が高松花街の全盛時代で、二百人以上の芸者衆がいて、「讃岐は芸どころ」と言われていたとか。店の屋号「二蝶(にちょう)」も当時の芸者さんの芸名を受け継いだものです。今は往時の賑わいとは行きませんが、芸事が伝承されていて結構と思いました。
あ、そうそう、お酒もあります、もちろん。
こちらのご主人はお酒のことも勉強されていて、色々なタイプの酒を、それに合った料理と食べさせようとなさっています。今どきは「なまげん」とか「あらばしり」とか「女性杜氏」とか話題性で酒を売ろうとする方が多く、どういう酒質なのか良く知らぬまま飲んでしまうことがありますが、ご主人は違っていて結構だと思いました。
が、今回の会合、昼間の会合だったんですよね。
したたか飲んだ後に、まだ明るいから庭園を見学しろとおっしゃいます。
いやあ、こちらのお庭、素晴らしいけど、上がったり下がったり、右に曲がったり左に曲がったり、歩きにくいですなあ。そういう趣向なんですか、ね。いや、自分のせいか、な? うーい、ひっく。

追伸
本日は浅草神社例大祭(=「三社祭」)の初日です。
例年、祭礼期間3日間(5/17〜5/19)の内、1日は必ず雨が降りますが、今年はどうでしょう。
主な行事は、
17日昼1時 大行列(浅草見番発)
18日正午 町内神輿連合渡御(浅草寺境内)
19日午前6時 本社神輿「宮出し」(浅草神社境内)→午後8時頃まで各町渡御

Filed under: 色んな食べ物,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)